空の神さま いつも独りで
鏡を覗いて 涙を流す
流した涙 大地となって
生命の楽園 そこに築いた
空の神さま 箱庭遊び
天変地異で 退屈しのぎ
大地の神さま それを手伝い
寂しくないよう 付き合った
でもでもやっぱり 退屈だ
壊してしまえ 大地なぞ
大地の神さま それを恐れて
寂しくないよう 手を打った
大地の神さま 血を分け与え
草木に動物 姿を変えた
半端な生命 たくさんできて
進むか戻るか ケンカした
元の姿に 戻りたいヤツ
大地の神さま 魔法を与えた
進みたい人 神さまの血を
も一度もらって 人間(ネイミ)になった
(メーティス王国に伝わる神話唄より)
*
メーティス王国は大陸の西側に位置する、人間の国だ。周りの三つの人間の国を従属関係に置き、大陸の中でも大きな支配力を誇っている。十年前に内海をはさんで大陸の向かい側にあった植人(フランタ)の国・ルクシルヴァを滅ぼし、今は隣接する獣人(マンマリャ)の国・ウンガスと臨戦態勢に入っていた。
遥か昔、大地神ソルン・ヒュームの血を得て誕生した植人や獣人たち『半端モノ(レタツォ)』は、後から生まれた人間の天敵であった。完全にヒトとなり元の力を失った人間は、動植物の力とヒトの力が融合した彼らに、長い間勝てなかったのである。領土争いに負け、他の地に追いやられている間に、人間は他の人間の種族と交わり、知恵を発達させ、『半端モノ』に負けない手工業で武器を生み出し、『半端モノ』優位の形勢を押し戻していった。
そして十年前、メーティス王国はルクシルヴァを滅亡させた。しかし、その戦いの意味は、それだけではない。植人の国の奥深くに存在した、『石の樹(アルボル・サクス)』を倒したのだ。大地神ソルン・ヒュームの現世の姿と言われている『石の樹』は、一人の人間により伐られた。フェリクス・パドル
――神殺しの英雄、メーティス王国の人間が神をも凌ぐ力を手に入れたことを示した人物である。
その男が死んだ。
報せは瞬く間に、王国中に行き渡った。
そして、彼の一人娘が行方不明であることも
――